この真鍮の厚さ1mmですが、このシートの厚さの場合、複数回のレーザースキャンによって対象物に対してアブレーションすることで、レーザー切断を可能にしています。TRUMPF社製TruPulse nanoシリーズのZタイプレーザーは、M2値が<1.6のシングルモードタイプのレーザーのため、F-thetaレンズで集光した際のスポット径が小さく(約32µm)、高い材料除去率が可能のうえ切り口(カット幅)が狭くなります。
切断工程でビームを揺らすことで切り口を広げ、厚さ1mmのシート材切断を実現します。最初は広いウォブル直径(通常60µm)が使用され、プロセスの途中で直径40µm、最後に20µmに変更されます。常に600Hzのウォブル周波数が使用されます。全体の切削速度は60〜80mm/minです。スキャナー入口で直径8.1mm(1/e2)のビームを生成するFL75のコリメータを使用し、10mmアパーチャスキャナーの使用を可能にしました。スキャナーには、100x100mmのフィールドサイズを与える160mmの焦点距離の対物レンズが取り付けられています。
TruPulse nano Sタイプを材料の切断に使用することも可能です。切削速度は出力に大きく依存します。そのため、できるだけ短時間で加工を完了させる必要がある場合には、より高出力のモデルの使用をご検討ください。